相続の話し合いが進まない
遺産分割ができない
相続や遺産分割の話し合いは、相続人全員でしなければなりません。
相続人の中に、次のような方がいるときは、話し合いで解決することが難しく、家庭裁判所の手続を利用することになります。
- 不仲で関係が悪く、協力してもらえない
- 連絡をしても、無視されている
- 忙しいことを理由に、手続に協力しない
- お互いの主張が強く、話し合いがまとまらない
- 嫌がらせで相続の手続を遅延させる
- 認知症で判断能力が低下している
- 遺産に無関心で呼びかけに応じない
- お互いにまったく面識がない
- 音信不通で、行方不明である
遺産分割調停を利用する
遺産の分け方や取り分について、相続人の話し合いによって決められず、前に進まないときには、家庭裁判所で遺産分割調停の手続を利用することができます。
具体的には、「不仲で協力しない」、「連絡しても無視されている」、「遺産の取り合い、押し付け合いになっている」、「遺産に無関心で呼びかけに応じない」というような場合です。
直接話し合うのではなく、家庭裁判所の調停委員に間に入ってもらい、お互いの言い分を聞いたり、資料を調べてもらい、解決のために助言をしてもらうほか、解決案をつくってもらいます。また、相手方の呼び出しや連絡は、家庭裁判所が代わりにやってくれますから、顔を合わせることなくすることができます。
家庭裁判所に提出する書類を自分でつくることが難しいときは、ときいろ司法書士法人で作成することができます。おひとりで家庭裁判所に行くことが不安な方には、調停の期日に、家庭裁判所へ同行しております。ただし、司法書士は、調停に同席することや代理人として裁判所の職員と話すことはできません。
司法書士は、代理人となって相手と交渉することはできませんので、自分で家庭裁判所に出向くことが難しいときは、弁護士にご依頼いただきます。
相続人の中に認知症の方がいる
相続人の中に、認知症や脳梗塞などで判断能力が低下し、意思能力が十分でない方や会話ができない方がいるときは、話し合いができません。
この場合、話し合いを始める前に、まずはその相続人に成年後見人を選んでもらうための手続からすることになります。家庭裁判所に選ばれた成年後見人が、遺産分割協議に代理人となって参加して、他の相続人と話し合いをします。
家族であっても、判断能力を失った者に代わって、勝手に書類に押印することは犯罪です。ご注意ください。
ただし、ここで選ばれた成年後見人は、遺産分割の話し合いのためだけに選ばれた臨時の代理人ではなく、これ以後もお亡くなりになるまで成年後見人としての仕事を続けられますので、ご注意ください。
このようなことにならないように、連れ合いの方や子どもなど、家族の中に認知症の方がいるときは、遺言書を必ず準備しておきましょう。
行方不明で音信不通である
相続人の中に、音信不通で連絡がとれない方がいるときは、相続の話し合いができません。
行方不明だからといって、その方を除外してされた話し合いは、無効です。
この場合には、裁判所に不在者財産管理人を選んでもらい、行方不明者に代わって、話し合いに参加してもらうことになります。
このようなことにならないように、家族の中に音信不通の方がいるときは、遺言書を必ず準備しておきましょう。